ひとり旅、したことありますか?
「ひとりで旅行なんて寂しいんじゃない?」と思うあなた。
まずはこの本を読んで、ひとり旅の良さを味わってみてはどうでしょうか?
ひとり旅の事前学習・ガイドブックとしても使えるおすすめの小説です。
今回紹介する本
今回紹介するのは秋川滝美さんの「ひとり旅日和」です。
ひとり旅日和/秋川滝美
秋川さんは「居酒屋ぼったくり」や「いい加減な夜食」など、食をテーマにした本を多く出されています。
そしてこの「ひとり旅日和」も続編として「ひとり旅日和 縁結び!」「ひとり旅日和 運開き!」が出ています。
私は今回初めて秋川さんの本を読んでみましたが、ひとり旅日和の続編や他のシリーズもぜひ読んでみたいと思いました。
素朴な主人公が初めてのひとり旅を通して、各地の食や名所に感動したり、自分の殻を少しずつ破っていく様子に温かい気持ちになります。
幸せな本を読みたい時に読むといい本です。
こんな人におすすめ
「ひとり旅日和」はこんな人におすすめです。
- ひとり旅が好きな人、興味がある人
- 食べることや観光が好きな人
- 落ち込んだ気分の人
「ひとり旅日和」というタイトルだけあって、もちろん旅が好きな人や興味がある人におすすめです。
特に今作はシリーズ一作目で、初めて旅に出る様子が描かれているので、準備や移動の不安なども描かれており、ひとり旅を経験したことがない人にも共感できるのではないかと思います。
私もまだひとり旅の経験がありませんが、確かにこういう点が不安だよなと頷いてしまいました。
「そもそもどこに行くのがいいのか」「親は心配するだろうか」など悩んだことがある人はきっと主人公に共感できると思います。
また、主人公の梶倉日和はとある会社の事務を行う女性会社員。
人見知りで上司から叱られることが多く、とてもひとり旅に出かけるようなタイプの人とは思えません。
そんな日和もあるきかっけから旅に出ます。
日和と同じように仕事がうまくいかず落ち込んだ気分の時には、日和の旅と成長する姿を体験することで気分も和らぐのではないかと思います。
というわけで、旅や食に興味がある人はもちろん、「今はそんな気分じゃない(でも何か物語に救われたい)」と思う人におすすめです!
あらすじ
都内の実家に住む24歳の梶倉日和は会社では上司に叱られてばかり。
人見知りな性格でうまく立ち振る舞うこともできず自信がなくなる中で、ある日社長に気分転換にひとり旅でもどうかと勧められる。
せっかく勧められたのだからとまずは本屋でガイドブックを選ぼうとするが、何を選べばいいか分からず途方に暮れそうに。
そんな時、偶然出会った旅の達人の先輩社員(麗佳)がアドバイスをくれて無事最初の旅に出ることに。
初めての旅は熱海に日帰り旅行。
神社を訪れ、茹で卵を作り、干物を食べ。そしてとある出会いもあり。
旅の魅力に惹かれた日和は少しずつ範囲を広げ、佐原(千葉)、仙台、金沢、福岡へと足を伸ばしていく。
各地で出会うおいしい料理やパワースポット、そしてひとり旅を通して成長する日和を体験できる旅行小説です。
3つのおすすめポイント
ではここから「ひとり旅日和」の3つのおすすめポイントを紹介していきます。
各地の魅力に触れられる!
今回「ひとり旅日和」で訪れるのは熱海、佐原、仙台、金沢、福岡。(佐原は千葉県)
人気の旅行先でもある各地ですが、ひとり旅の日和の視点から各地の魅力を知ることができます。
日和はパワースポットが好きで、そうした場所を中心に旅の工程を組みます。
しかし長居はせず(できず)短時間で移動するのはまさにひとり旅だからこその巡り方だと思います。
(そしてパワースポット好きであることを人には言えない、というもの日和の性格らしくて共感できます)
パワースポットは好きですが、やはり日和の関心の中心はグルメ。
各地の名物はもちろん、あまりスポットが当たらないような料理も取り上げています。
特に食のシーンは日和の内なる感動がたくさん描写されており、読むだけでお腹が空いてきます。
旅行小説の基本かもしれませんが、各地の食や観光地などの情報が得られるのがまず1つ良いところだと思います。
それも、人見知りの日和を通じて紹介されるからこそ、ひとり旅で訪れたい場所として記憶に残りやすくなります。
ひとり旅を通して仕事にも好影響?
日和はとある会社の事務の仕事をしています。
そこには日和が苦手な直属の上司がいて、何かにつけて説教をされたり、皆に聞こえるような声で嫌味を言われたりします。
人見知りで内気な性格なので言い返すこともできない日和ですが、ひとり旅を通して気分が晴れていきます。
パワースポットのご利益なのか、仕事の進め方が改善されたり、上司の小言があまり気にならなくなったりと効果が現れてきます。
旅先で人に出会ったり、勇気を出して店員さんと会話してみたり、これまでの日和には難しかったことが旅の力を借りてできるようになっていきます。
また家族や先輩へのお土産を選ぶことを通して、その人たちへの感謝の気持ちに気付いたりと人間関係を振り返ることもあります。
そうした経験が、日和自身の日常生活に良い影響を及ぼすのも不思議ではないと思います。
もちろん、ひとり旅に出たからと言って必ずしも全てがうまくいくとは限りません。
しかし日和は、これまで経験したことがないひとり旅というものを経験することで、自分を見直す機会が増えたといえます。
ひとり旅に行きたくなる!
人見知りな性格の日和ですが、せっかく旅行に行っているのだからと普段は入らないような居酒屋などにも勇気を持って入ったりします。
もちろんそこには人見知りならではのお店に入るまでの躊躇なども描かれており、とても共感しながら読むことができます。
初めて一人居酒屋でお酒を飲んだ自分を褒めるのも好きなシーンです。
また移動手段のミスがあったり、ホテルで気付いたら寝てしまっていたりと、旅でよくあるような事件を経験しながらも、前向きに挽回しようと動き回る様子も描かれています。
控えめながらも一歩踏み出して旅行を楽しむ日和。
そんな旅だからこそ、初めてひとり旅をする人にも「自分も行ってみたい」と思えるのだと思います。
まとめ
今回は秋川滝美さんの「ひとり旅日和」を紹介しました。
これを読む時点でひとり旅に興味があったのは間違いないのですが、正確には「ひとり旅日和」というタイトルを見てひとり旅への興味が湧き上がってきた気がします。
そんな興味に応えて、ひとり旅の魅力を日和という人見知りな性格の主人公を通して伝えてくれるのがこの本です。
旅の達人である麗佳が、日和の背中を押してくれているのも好きなポイントです。
旅行は不安が付き物ですので、こうした経験者がいてくれるのはありがたいですよね。
ひとり旅に出かけたいと思った皆さん。
まずはこの本を読んで、巡ってみるのもいいかもしれません。
私もぜひひとり旅に挑戦してみようと思います。
その時はもちろん「ひとり旅日和」を鞄に忍ばせて。
それではまた。
ありがとうございました!
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