人生のほとんどは「欺きの段階」である。
そう言われるとあなたはどう感じるでしょうか?
冒頭の一文はドリー・クラーク著「The Long Game」にて書かれた一節です。
「欺き」は他人に対してだけでなく、自分に対しての欺きも含まれています。
人生が自分を欺くというのはどういうことなのでしょうか?
成長は指数関数的。最初は結果が見えない。

(引用元:成長曲線ってご存知ですか?/個太郎塾谷津谷津教室)
こういった図は見たことがありますでしょうか?
努力と結果の関係を表す図としてよく用いられるものです。
結果は指数関数的に伸びてくるため最初は結果が現れない(見えにくい)ということです。
多くの人が何かしらの分野で経験したことがあるのではないでしょうか?
最初は何をやってもうまくいかない。
でも続けることで最後には何かしらの結果が現れる。
身近な例では、勉強や部活、習い事などが当てはまるのではないでしょうか。
もちろん全ての分野で結果が出る人は稀でしょう。
ですが、どれか1つでも経験があれば実感しやすいと思います。
私の場合、高校・大学とそれぞれ違う部活に入ったのですが、それぞれ3~4年間の練習を通して一定の結果を出すことが出来ました。
別に「全国大会に出場」「賞を獲得」などの大きな結果ではありませんが、振り返ると自分の人生の中でも貴重な経験だったと思える結果でした。
(具体的には、運動部でキャプテンを務めたり、文化部で外部のお客さんの前で披露したりといった経験です)
いずれも初めて経験するジャンルの部活の中で、引退する頃には大きな成長を遂げていた経験となります。
おそらく部活は数ヶ月やるだけでは特に結果も出なかったでしょう。
学生時代の数年間を打ち込んだからこそ、自分にとって良い経験と言える結果が出たと思います。
もちろん部活動の結果がグラフの一番右端に当たるとは思いません。
ですが、最初の停滞期(「欺きの段階」)は超えたのではないかと感じています。
こういった経験があるので、私の中では「結果は指数関数的」という考え方もある程度の実感を持って賛同できます。
しかし、それでも大人になると「結果が出ない」といってすぐに諦めてしまう気持ちになってしまします。
「この仕事向いてないんじゃないか」
「資格試験で点数が伸びない」
「副業に挑戦してるけどなかなか結果が出ない」
そんな気持ちになる人は多いのではないでしょうか。
そういう時こそ、「人生のほとんどは欺きの段階」ということを思い出すべきなのです。
・・・前置きが長くなりましたが本日の本題に入ります。
今日紹介する「The Long Game」では、人生をロングゲームと考えて、長期的な視点で考える・取り組むための秘訣が紹介されています。
The Long Game/ ドリー・クラーク著 伊藤守監修 桜田直美訳
こんな人におすすめ
「The Long Game」はこんな人におすすめです。
- 少し努力して結果が出ないとすぐに諦めてしまう人
- 色々な人の意見を見聞きして、その度に自分の意見が変わってしまう人
- 長期的な視点で人生を考えたいと思っているができない人
つまり、人生をロングゲームと考えていない人、と言えます。
私はまさに、目先の結果ばかり追い求めてしまい一喜一憂することが多い「ショートゲーム思考」の人だったと言えます。
(ショートゲームという言葉は本の中に出ていません。対比のための造語です)
ここで注意点としては「ロングゲームだから意見を変えてはいけない、というわけではない」ということです。
どうしても「長期的視点=1つのことだけをやり続ける」と思いがちですが、この本ではそういった主張はされていません。
大事なのは長期的な視点に立って物事に取り組むことです。
長期的な視点で考える中で戦略を変えることは問題ありません。
推奨されないのは、短期的視点で戦略を変えることです。
目先の誘惑に負けて意見や行動を頻繁に変えるといった、短期的な視点は良くないということです。
将来の目標を考えた上で今の行動を軌道修正する、といったことは問題ありません。
ぜひ皆さん自身のロングゲームを考えてみませんか?
「The Long Game」から学ぶ3つの視点
ここからは私が「The Long Game」を通して学んだ3つの要素についてご紹介していきます。
私が「この考えは実生活に取り入れたい」と感じた内容ですので、ぜひ本を読む際の参考にしてみてください。
本当に大事なことからスケジュールを組む
「The Long Game」ではまず「忙しさ」についての考察から始まります。
ここでは忙しさの特徴として
- 忙しさで自分をアピールしている
- 忙しいと深く考えずに済む
- 忙しい人は自分の人生をコントロールできない
と挙げられています。
かなり辛口な気がしますが、きっと多くの人が痛いところを突かれた気持ちになるのではないでしょうか?
自分の予定表が会議や仕事で埋まっていれば忙しいと感じるし、他人に対しても忙しさを伝えることが出来ます。
そうすることで「あの人は会社から求められている人」と思われて仕事ができる人のようなアピールができるでしょう。
ただし、本人は忙しすぎて1日1日を乗り切るのに全力で、人生や将来について考える時間を持つことが難しい状態であることがほとんどです。
もしそういった時間が取れたとしても、次の仕事に向けて忙しいから、などともっともらしい理由をつけて後回しにすることがでいます。
つまり忙しさは「言い訳」に使いやすいのです。
(仕事が忙しいと言われたら遊びに誘いづらくなりますからね)
この言い訳に慣れてしまった人は、目の前の忙しさに奔走し将来に向けての準備が出来ない可能性が高いと考えられます。
だからこそ、まずは「忙しい」から脱することが大事だと述べられています。
そのために必要なのが、「本当に大事なことからスケジュールを組む」ということです。
家族との休暇や、将来に向けた勉強や準備のための時間など、自分にとって本当に大事な予定をまず最初にスケジュールを抑えるのです。
そして空いている時間で仕事を終わらせるのです。
本の中では、1年間に2か月のバカンスを取る人や、必ず定時で帰る人の事例が載っています。
いずれも、仕事をしない時間を決めることで時間内に仕事を終わらせるような工夫が行われるという点が共通しています。
有名な法則の一つに、仕事は与えられた時間を使い切るまで膨張する、という考えがありますが、まさにそうだと思います。
仕事はいかに切り上げるかが肝要なので、自分でそのタイミングを設定することが大事になってきます。
忙しさを言い訳にしてしまう人は、まずはあなたの本当に大事なスケジュールから押さえてみてください。
それが家族や友人との予定であれば、優先して予定を押さえてくれたことにきっと喜んでくれるでしょう。
そして何よりあなた自身の貴重な時間となり、時間をとって良かったと思えるはずです。
ネットワーク作りが苦手な人は「1年間頼まない」を徹底しよう
「The Long Game」の中でも大きなトピックになっているのがこの人的ネットワークについてです。
人脈作りと聞くと、派手なパーティーに参加したり、他人に媚びへつらうようなイメージを持ってしまう人もいると思います。(私もそうです)
そして知り合った人から後日、その人のビジネスの営業や他の人を紹介してほしいなどという、いわゆる「他人を利用するお願い」が来る。
一度挨拶もしている分無視するわけにもいかず、どう返事して良いか悩み時間と精神を無駄に浪費してしまう。
そんな経験をしたことがある人ほど、人脈作りに抵抗があると思います。
しかしこの本ではまず人脈作りを3つのタイプに分けています。
それが「短期」「長期」「無期限」となります。
上で書いた、いわゆる「他人を利用する」のは「短期」の人脈といえます。
目指すべき人脈作りは短期ではなく「長期」または「無期限」の人脈となります。
そのために大事なのが「すぐに頼まない」ということです。
知り合ってすぐに依頼すると、どうしても向こうから「利用されている」と感じられてしまいます。(逆も然り)
そこでこの本では「1年間は何も頼まない」ということを推奨しています。
1年間は何も頼まず、ただ関係を深めることに注力するということです。
これを徹底すると、少なくとも相手から「利用されている」と思われることはないでしょう。
人脈作りが「短期」のイメージがある人は、ぜひこの「1年間は何も頼まない」ことを意識して、長期・無期限の人脈に繋がるようにしてみてはいかがでしょうか。
私自身、この考えはとても素敵だと感じたのでぜひ取り入れたいと思いました。
長期的にキャリアを考えるために必要な4つの視点
最後の1つはロングゲームの真髄、キャリアについての視点です。
長期的な視点でキャリアを考える際、次の4つの波に分けて考えることが推奨されています。
- 学ぶ → 知識を身につける・業界の基準(普通)を知る
- 創造する → 自分のアイデアを発信し業界に貢献する
- つながる → 正しい人と繋がり、アイデアをさらに広げる
- 収穫する → 積み重ねた努力から実りを収穫する
それぞれを海の波と考えるイメージです。
1つの波にずっと乗っていると停滞や不満の原因となるため、時期を見計らってうまく次の波に移行するのが重要だということです。
最近では「3か月で30万円稼げる」「初日から〇〇万円」「初心者でもすぐに稼げる」といった文言でSNSで勧誘をしているアカウントが多数見られます。(個人的にはああいうアカウントはヘドが出るほど嫌いです)
こういった情弱集客アカウントの特徴として、短期間で稼げる(ように思わせて自分の情報商材を買わせる)、ということです。
こういったビジネスが成り立つというのは、裏を返せば消費者が短期間での成果を求めているということになります。
つまりロングゲームではなくショートゲームとして考えていると言えます。
この時に、上の4つのキャリアの波を理解していれば短期間で結果を出すことは相当に難しいことがすぐに分かるはずです。
ロングゲームと考えて人生全体で取り組むからこそ、他人には出せない価値が出て認められるということです。
ぜひ短期の結果を求めてしまいそうになった時はこの4つの波を思い出してみてください。
自分は今どの波に乗っているのかを考えることで、その時注力すべきことがわかるはずです。
(学ぶ段階の人が収穫を狙った行動をするのは時期尚早ですよね)
最後に
本日は「The Long Game」を紹介しました。
短期間での結果が求められることが多い現代において、長期的な視点を持つことの大事さを学べる貴重な本です。
私自身、腰を据えて取り組むことは大事だと分かっていながらも、うまく自分の中で言語化できない部分がありました。
しかしこの本でロングゲームという言葉を吸収して腑に落ちた感覚が生まれました。
自分が取り組んでいることはすぐに成し遂げられることではない。
だからこそロングゲームとして捉えて日々努力を積み上げていく、そんな気持ちが強くなりました。
本の中ではAmazonの創業者であるジェフ・ベゾスの言葉が引用されています。
長期的な視点を持つメリットをうまく表していると思います。
3年単位の目標ばかり追っていると、たくさんのライバルと闘わなければならない。
しかし7年単位の目標にすると、ライバルは激減する。なぜなら、そんなに先まで考える企業はほとんどないからだ。
時間軸を伸ばすだけで、短期では達成できないような大きな目標に取り組めるようになる
ロングゲームという意味では7年も短いかもしれません。
しかし、まずはこの7年を目標に自分の人生やビジネスを考えてみると良いかもしれません。
私もこれを読んで7年の目標を立ててみました。
すると、今やっていることが7年目標に対してどう繋がるのかを意識することが出来て、目の前に集中しやすくなりました。
それだけでもとても大きな効果だと思います。
ぜひ皆さんも7年目標を考えてみてください!
膨大な情報に押しつぶされそうな現代の生活。
長期的な視点を持って努力ができるというのは、今後さらに大きな武器になると思います。
ぜひこの本をきっかけに、ロングゲームをプレイする人が増えることを願います。
それでは私もロングゲームに戻り新たな本を読み始めます。
そしてまた素晴らしい本を皆さんにお届けできるように発信を続けていきたいと思います。
ぜひまたお会いできますように。
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