「伊坂幸太郎」と聞いて「誰それ?」と言う人はほとんどいないのではないでしょうか。
たとえ知らなくても、作品名をいくつか並べていけばきっと作品(または映画)は知っていると言う人が多いでしょう。
(おそらく「ゴールデンスランバー」や「重力ピエロ」あたりでしょうか。最近だと「フーガはユーガ」なんかは電車でも広告が出ていたので表紙を見たことがある人が多そうですね)
さて、今回紹介するのはそんな稀代のミステリー作家の伊坂幸太郎さんのエッセイ集「3652」
伊坂さんに影響を与えた作品や、その時に進めている自身の作品へのコメント、また日常や悩みについて語られているエッセイです。
その期間はなんと15年間。
2000年から2015年までが監修されています。
「今は2022年だから今更読んでも古臭いんじゃない?」と思うかもしれません。
正直僕も最初はそう思って購入しました。
ただ、読んでみるとそんな時間差は忘れさせるような読み応えでした。
当時の時代の空気感を思い起こさせてくれますし、伊坂さんの内面についての内容が多いので、時代は関係なく楽しむことができます。
(個人的には2000年初頭はまだ小学生だったので、冷戦時代の空気感などまさに今にも通じるものがありハッとした部分もあります。メインテーマではないんですが、戦争というのも伊坂さんの性格を表す一つのキーワードになっています)
「3652」伊坂幸太郎
こんな人におすすめ
「3652」はこんな人におすすめです。
- 伊坂幸太郎作品が好きな人
- 伊坂幸太郎さんが好きな本や影響を受けた本を知りたい人
- 伊坂幸太郎さんの日常を知りたい人
エッセイなのでやはり筆者のことを知っている方が楽しめます。
知らずに読むよりは一冊でも伊坂さんの本を読んでから3652を読むことをおすすめします。
(伊坂さんのおすすめ作品はこちらで紹介していますのでぜひ!)
この本を一言で表すと?
3652を一言で表すとしたら。僕ならこうです。
作家伊坂幸太郎の、日常とルーツ、そして干支が詰まったエッセイ集。
「干支ってどういうこと?」と思われるかもしれません。
それは読めば十分に理解できるかと思います。(別に難解な謎が隠れている訳ではありません。本当に干支の話です)
ちなみに3652というのは、この本の単行本が伊坂幸太郎さんの10周年を記念して出版された(今回の文庫本は15年ですが)ので、365日×10年と閏年が2回あったので2を足して3652日となっています。
3つのおすすめポイント
「3652」の3つのおすすめポイントを紹介!
好きな作家や影響を受けた作品がたくさん乗っている
やはり伊坂幸太郎作品が好きな人は、伊坂幸太郎さんがどんな作品に影響を受けたのか、どんな作品が好きなのかが気になると思います。(もちろん日々の暮らしも同じぐらい気になりますが)
この本は色々な雑誌や刊行物に掲載されたエッセイやコメントがまとめられているので、そのテーマとしても影響を受けた作品が取り扱われていることが多いです。
特に「僕を作った五人の作家、十冊の本」というタイトルにはそのエッセンスが詰まっていますので、素早く知りたい人はそちらをぜひご覧ください。
ただ、そこで書かれていないけど他の場面で何度も掲載されている作家さんもいますのでやはりじっくり楽しむことを一番おすすめします。
ちなみに作家名だけでも列挙するならこういう顔ぶれとなっています。
佐藤哲也・内海文三・赤川次郎・大江健三郎・島田荘司・西村京太郎・・・
これ以上はやめておきます。ぜひ自身で一つ一つの作品や作家への伊坂さんの思いを味わってみてください!
ちなみに私はこれらの作家さんはほとんど読んだことがないので、これからじっくりと辿っていきたいと思っています。
その時々の作品についてのちょっとしたこぼれ話が書かれている
エッセイの中には自身の作品についての思いが語られている場面もあります。
(そんなにびっしり書かれている訳ではありませんので、そこに期待しすぎないのが良いですが)
「ああ、この時はこの作品を書いていたのだな」
「これぐらい並行して作品をすすめているのか」
など伊坂さんの仕事ぶりが間接的に想像できます。
私は時系列がバラバラで作品を読んでいるので、改めてその順番を感じることができて少し頭の整理にもつながりました。
少し昔のエッセイだけど、下に注釈のような副音声的なコメントがあるのでより楽しめる
最初に書いた通り、この本では2000年から2015年までのエッセイが掲載されています。
2000年となるともう20年以上前ですが、この本では下部に注釈(解説?)が乗っています。
そこには後から振り返った時の伊坂さんのコメントが書かれています。
まるで副音声で伊坂さんが解説しているのを味わっているようなライブ感が感じられます。
本文だけだとちょっと付いていけなかったり不十分に感じる可能性があるところを、この注釈があることでグッと読みやすさや読み応えが増しています。
こういった気遣い(文遣い?)があるところが嬉しいです。
最後に
今回紹介したのは伊坂幸太郎さんの2000年から2015年までのエッセイが収録された「3652」という本でした。
伊坂幸太郎さんのルーツや日常、そして干支についての話が詰め込まれている作品となっています。
私はこの本を旅のお供として購入したのですが、気軽に読めて楽しめる一冊でした。
ぜひ伊坂幸太郎さんに興味がある人は読んでみてください!
今読んでも十分に楽しめます。
ちなみに伊坂幸太郎さんがどういったタイミングでどういったきっかけで専業作家になったのかも載っています。
とある曲がきっかけだったとか?
続きは本でお楽しみください!
私自身、これから読みたいと思う本がたくさんあって大満足の一冊でした。
早速本屋さんに行っていきます。
それではまた!
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