愛の形。/「おしまいのデート」瀬尾まいこ

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心に引っかかる言葉ってありますよね。

どこか心地よくて、自分の心にすっと入ってくる言葉。

 

 

僕にとってそれが「おしまいのデート」でした。

 

たまたま本屋で出会ったこの本ですが、ジャケ買いならぬタイトル買いをしてしまいました。

(これが本の醍醐味ですよね?)

 

瀬尾まいこさんの作品も初めて読む状態ですが、せっかくなのでこのタイトル買いした「おしまいのデート」の感想を紹介したいと思います。

心温まる、優しい作品でした。

 

 

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恋愛小説じゃない?微笑ましく愛おしい愛の形。

 

「おしまいのデート」と聞いてどんなストーリーを思い浮かべますか?

僕はこんなことを考えました。

・悲劇の恋をしている男女が別れてしまう前に最後にデートをする

・長く連れ添ったカップルがひょんな理由で別れることになり、お互いの思い出の地をめぐる最後のデートをする

 

僕はこんな物語を想像しました。

いずれも、男女の恋愛模様の話かと思っていたのです。

 

しかしこの「おしまいのデート」はそんな話ではなかったのです。

この作品は計5つの短編小説が集まった形になりますが、そのどれもが単なる恋愛話ではありません。

少し変わった切り口の、でもとても愛おしいお話なのです。

 

例えば小学生の女の子と離婚した父方のおじいちゃんとの月一のデートであったり、急に話しかけてきた同級生の男の子どうしのデートであったり。

 

僕は「おしまいのデート」という単語から想像していた物語とは随分違ったこの作品にとても驚き、そしていい意味で裏切られました。

様々な愛の形を気付かせてくれます。

それはLGBTという意味よりは、もっと人と人との広い愛情についてだと思います。

僕たちが人として持つ愛や思いよりの心が感じられる、心温まる物語です。

 

 

「おわり」じゃなく「おしまい」

 

これも上のトピックに繋がるかもしれませんが、タイトルから読み取れる柔らかさがこの本の特徴でもあると思います。

 

「おしまいのデート」

これがもし「終わり」だったり「最後の」だったら、もっと悲劇的な要素が強い、ドラマチックな展開のストーリーだったかもしれません。

 

でも、この本は「おしまい」なのです。

どこか子供っぽくて、小説というより絵本のような言葉遣い。

それがこの「おしまいのデート」の柔らかく温かい印象を形作っているのだと思いました。

 

この本は幼稚園児から定年後のおじいちゃんまで幅広い年齢の登場人物が現れます。

年齢が違えばもちろん使う言葉も持つ感情も全て違ってきます。

それをまとめる言葉としても「おしまい」というのはとてもしっくり来ます。

 

終わりではなく、続きを感じさせてくれるのが「おしまい」だと思います。

まるで小さな子供が夕方の公園からの帰りに「また遊ぼうね」と声をかけ会うような温かさ。

それは今日の遊びが一旦終わるだけであって、彼らの毎日はまだまだ続いていくような。

 

僕はこのタイトルから、そんな温かい物語の印象を感じ取りました。

とても考えられた、そして美しいタイトルだと思います。

 

お気に入り2話をプチ紹介

「おしまいのデート」は計5つのお話からなる小説です。

最後に僕が特に気に入った2つのお話を紹介します。

 

「ランクアップ丼」

 

あらすじ

社会人2年目の三好は毎月の給料日に「上じい」という62歳のおじいさんと会います。

そこで2人は毎回「玉子丼」を食べるのです。

 

上じいは三好の高校時代の別のクラスの先生で、急に上じいが三好に「飯を食おう」と呼び掛けたのが始まりでした。

そこから始まった2人の玉子丼は就職してからも続き、三好にとって不思議な存在になっていました。

 

しかしある日いつもの場所に上じいはいませんでした。

待ちくたびれた三好の前に現れたのは

 

おすすめポイント「おじいさんと若者というナイスコンビ感」

 

向井もちょうど三好と同じく社会人2年目ですが、こういったおじいさんとの交流という特殊な関係がとても微笑ましく、羨ましく感じます。

三好と同じではありませんが、仕事で出会ったおじいさんがいてその人が大好きで担当を外れた今でも毎日思い出してたまに連絡を取ったります。

 

三好と上じいの間にある、口には出さないけど相手を思いやる気持ちが、読んでいてとても尊く素晴らしいと感じました。

これも一つの愛の形であると痛感しました。

 

年が離れているからこそ、優しい気持ちで向き合える良さがあるのだなと感じられた話でした。

 

この話を読むと誰かと並んで食事をしたくなります。

 

 

「ファーストラブ」

 

あらすじ

高校生の広田はある日帰り道でクラスメイトの宝田に2人で遊びに行こうと誘われます。

しかしこの2人はそれまでほとんど接点もなく、広田はうろたえます。

そんな驚く広田をよそにどんどん話を進める宝田は約束を取り付けてしまいます。

 

広田は嫌々言いながらも当日はきちんと起きて待ち合わせ場所に向かいます。

少し待って宝田が現れ、なんとなく始まる2人のデート。

デートっぽく映画に行って2人並んで映画を見たり、なんと宝田が弁当を作ってきたり。

どうして急に宝田は広田をデートに誘ったのか。

そして、デートを終えた広田に訪れた驚きの出来事。

 

2人の男子高校生のちょっと不思議な友情の始まり。

 

おすすめポイント「男子の真面目さとバカらしさ」

 

広田はこれまでほとんど関わりのなかった宝田に休日の遊びに誘われとても驚いていました。

その場では頷いてしまったものの、その後になるとどうして行かなければならないのかと対応を後悔する始末。

でも当日は服に悩むし10分前には待ち合わせ場所に着いている。

その真面目さがとても愛らしく微笑ましくなります。

 

さらに宝田が広田をデートに誘った理由も本編で語られますが、その理由も些細で可愛いものです。

「そんなことで宝田を好きになってデートに誘ってわざわざお弁当まで作るか?」と僕は読みながら宝田のバカ正直さに笑ってしまいました。

 

男子の不器用だけどまっすくで気持ちいいリズム感が堪能できるお話です。

 

 

まとめ

 

「おしまいのデート」いかがですか。

 

僕は正直タイトルに裏切られました。

ベタで甘酸っぱさと切なさが入り混じった恋愛小説だと思っていたのですが、この本にはそんなものはありません。

 

その代わりにこの本には世代を超えた、性別を超えた、人を思う気持ちが詰まっています。

 

それが僕はとても素晴らしいと思いました。

 

「おしまい」という文字がとても愛おしく感じられる、良い本でした。

 

よかったら皆さんも手にとってみてください!

 

 

 

 

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ここまでご覧いただきありがとうございました!
また次の記事でお会いしましょう。

ありがとうございました!

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